食べることが大好きなA様が体調を崩して入院されました。
92才というご高齢で、もともと車椅子で生活されていたところに
2週間以上もベッドでお過ごしになると、座ることもままなりません。
「静かなのがいいの」
と大好きなテレビもご覧になりません。
もちろんお食事もなかなか進みません。
入院中に「硬い」とか「好きじゃない」とお食事量が落ちたとのこと。
「やっぱりエルダーのお粥はおいしい」
と笑顔をお見せになるもののほんの何口かしか食べられません。
「もう少し食べないと力が出ませんよ」
とお声をかけても
「食欲がないの」とか
「動かないからお腹すかないのよ」
などとお答えになります。
そして決まって
「今までありがとね」とヘルパーの手を握るのです。
せっかく病気が治っても、このままでは体が持ちません。
ご家族様とご相談し食べられる物は何でもいいので
お腹に入れていただこう!とヘルパーの奮闘が始まりました。
カステラ一口、プリン二口...カステラは三口食べられました!
と日々報告が入ります。
そうして二か月が経ちました。数日前からテレビがついています。
お食事も半分以上、おやつのプリンや水羊羹も一度に食べられるようになり、
介助後の「今までありがとね」が、
ただの「ありがとね」に変わりました。
「たくさん食べられるようになりましたね」
とお声をかけると
「エヘヘ...^o^」といたずらっ子のような笑顔で
「そーなのよ!お迎えを待っているだけなのに、
何を食べてもおいしくって困るの」
思わず吹き出してしまいました。