エルダーホームからこんにちは(2019年4月号)

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介護トピックス

エルダーホームからこんにちは(2019年4月号)

ある本によると、介護職員にとって大変な利用者様は

「体重の重い人」「性格の悪い人」だそうです。

新しい方の入居が決まると職員もドキドキです。


A様は、長年連れ添った奥様が急に入院され

ホームに急遽入居することになりました。

入居された日娘さんから

娘様「お父さん。お母さんが入院している間ここでご飯を

食べたりお風呂に入ったりして頑張ってよ」


A様「ああ‥」


娘様「ひとりじゃご飯作れないでしょう」


A様、ベッドに横になりただ黙っています。

淋しいのか、気分も沈んでいるようです。


ヘルパーもそっと見守りしていました。

日が経つにつれ介助に伺う事が多くなりました。

いつも食事が済むと、皆様が集まるホールにお誘いしても

行きたがらず、すぐに居室に戻りベッドに横になられます。


或る日ヘルパー室にA様が座っています。


ヘルパー「はい、4×6は?」


A様「24


ヘルパー「8×8は?」


A様「64


ヘルパー「忘れていませんね。正解です!」


大人の脳トレドリルをやっていました。

昔事務の仕事をされ計算は得意だったとの事です。


A様「あれ(奥様)が強くてしっかりしていたから何もしなかったんだよ」


ヘルパー「奥様は厳しいですか?」


A様「厳しいよ。オレはいつも命令されているよ。

        スーパーへ行ってこれ買って来て。あれ買って来てって」


職員皆笑ってしまいました。


ヘルパー「あら、どこの家でもお父さんはそうですよ」


A様「そうかい。オレは自分で何も出来ないから、ここでお世話になるよ」


何だかしおらしいお姿に職員も奥様が退院される日まで

しっかりお世話して差し上げなければという気持ちになりました。


入居者様と職員、お互い心を寄せて行くにはそれなりの時間がかかります。

ご縁があってホームに来られる方。一つ屋根の下に住む家族のように、いつも思いやる人となれるよう願っています。

 

日時:2019年4月15日 PM 04:17